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帰り

家の前まで行ったけど、居間の明かりを見たら帰りたくなくなったからそのまま違う道を行った。近所の古本屋にあるラブ&ポップのページをパラパラめくった。いつの間にか読み入っていた。読み入っていることに気付くと、すぐに飽きて、場所がわからないから適当に突っ込んどいた。
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オーボエ協奏曲

場内には大勢の観客が規則正しく敷き詰められた。誰一人声すら出さないで、咳払いもしない。息が通り過ぎてしまうような空気が立ち込める。かすかに小太鼓や鉄琴が響き始め、一層空気が透き通る。息ができない。思わず目をつむる。
直後、場内は無風であるのに、顔の真ん中から脳へかけて何かが吹き抜けていくような感覚に襲われた。柔らかく甘い、重低音と、丸みを帯びた高音が、はちみつみたいにのどを通ってお腹へ入ってくる。オーボエだ!と私は思った。
オーボエに吹き込まれた息が、音という風になって、会場を大きく包み込もうとしていたのだ。まぶたの裏では穏やかなオレンジが、周りの黒を淡く照っている。私は風に感覚を奪われ、その音なしに息もできないくらいになっていた。
目を開けると音を響かせるためにぼこぼこと変形したホールが奇妙に感じられて、いつの間にか風も止み、私は本当に吹いていたか確かめるのに周りが拍手し始めるのを待つしかなかった。

葉脈 デカルコマニー

 それは私が、彼と出会った時。じとっとした重たい夕暮れ。黄色を反映する、白い膜を張ったような黄緑が目に眩しかった。私は彼が驚かぬように、ゆっくり歩み寄る。目を見張りがら。静かに。
 彼はじっと上を見つめる。私に気付いたのか、気付かないのか、たまにピクリと動いては無防備になる。私が想像する彼の体は、とても柔らかく、優しい。少しでも爪を立てようものならぷつんと弾けてしまうのだ。きっと中は形のない水のようなものが詰まっている。光を筋にして、白く細やかな線を引っ張る。
 今まで彼を覆っていた枯れ葉のような殻がぽとりと落ちた瞬間、私は彼を連れ去らなくてはいけないような使命感に駆られた。欲求に合理化を重ねる。合理化に使命感を重ね、更に広範囲へ引き延ばす。
 私は彼を優しく連れ去った。部屋の中にいる彼は落ち着きがなく、白はすっかり濁り始めていた。私は焦った。どうにか彼を私の好きな彼に留めておきたかった。あの茶褐色で仰々しい不気味な物体に成り下がってしまうなんてと息を荒げた。彼が成りゆく姿。固い羽根の振動から発せられる音が耳をつんざく。
 私は机の上を乱暴にあさり、なんとか白紙を見つけ出すと、彼をぎゅっと挟んだ。彼は抵抗を全く見せず私の手の間でのびていく。冷たい感触は予想より固い。そしてかれは白い白い紙の上で落ち着いていた。

勝手に今日輝いていたレス大賞@V板17

200 :整理番号774:2009/07/15(水) 23:21:22 ID:SX5uuDJJ0
人の評価とかジャンルでしか音楽を聴けないなんて可哀想()笑
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[09/07 るんるん♪]
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だつお
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