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オーボエ協奏曲

場内には大勢の観客が規則正しく敷き詰められた。誰一人声すら出さないで、咳払いもしない。息が通り過ぎてしまうような空気が立ち込める。かすかに小太鼓や鉄琴が響き始め、一層空気が透き通る。息ができない。思わず目をつむる。
直後、場内は無風であるのに、顔の真ん中から脳へかけて何かが吹き抜けていくような感覚に襲われた。柔らかく甘い、重低音と、丸みを帯びた高音が、はちみつみたいにのどを通ってお腹へ入ってくる。オーボエだ!と私は思った。
オーボエに吹き込まれた息が、音という風になって、会場を大きく包み込もうとしていたのだ。まぶたの裏では穏やかなオレンジが、周りの黒を淡く照っている。私は風に感覚を奪われ、その音なしに息もできないくらいになっていた。
目を開けると音を響かせるためにぼこぼこと変形したホールが奇妙に感じられて、いつの間にか風も止み、私は本当に吹いていたか確かめるのに周りが拍手し始めるのを待つしかなかった。
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[09/07 るんるん♪]
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だつお
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非公開
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